「得点直前でゲームがフリーズ」、「上司とのビデオ通話で映像や音声がずれる」などの接続トラブルは、イーサネット(有線接続)とWi-Fiの両方でよくある事例です。どちらもネットワーク通信を行うための通信規格ですが、それぞれ特徴が異なります。イーサネットの安定性と信頼性が極めて高く、Wi-Fiは利便性に優れており広範囲なエリアをカバーできます。
重要なのは、状況に応じて上手く使い分けることでしょう。そこで、今回はイーサネットとWi-Fiを通信速度・安定性・セキュリティ・利便性などの観点から比較してみました。ゲーム、ストリーミング、リモートワーク、ネットのブラウジングなど、用途に応じて有利な接続方法を利用しましょう。
イーサネットとWi-Fiの違いとは?
イーサネットは、ルーターとデバイスをネットワークケーブル(LANケーブル)で有線接続する通信規格です。電波はケーブル内に留まるため、物理的な障害物や他の電子機器からの干渉の影響を受けませんから、通信が安定しており遅延も少なく、ゲーム、ビデオ通話、4Kストリーミングに最適です。しかし、ケーブル配線とデバイスをつなぐルーターに空きポートがないといけません。
Wi-Fiは、電波を使ってデバイスとインターネットを無線接続します。ですから、Wi-Fi接続は利用できるエリアが広く、モバイルデバイスに最適です。ただし、通信速度は距離、壁や床などの障害物、さらには近隣のネットワークからの干渉によって変動します。つまりWi-Fiは予期せずパフォーマンスが不安定になることがあります。
イーサネット vs Wi-Fi:項目別に比較
イーサネット(有線接続)は安定性、Wi-Fi(無線接続)は利便性に優れています。多くのご家庭では「高速通信を常に確保したい端末には有線」、「その他の機器にはWi-Fi」など使い分けているかと思います。ここでは、両者の特徴を項目別に比較してみました。用途別に有線と無線を上手く使いこなしましょう。

速度
イーサネットは電波がケーブル内に留まるため通信速度が安定しています。一般的な家庭環境ではギガビットイーサネット(最大1,000 Mbps)が使用されますが、多くのルーターやPCは現在2.5 Gbpsまたは10 Gbpsまで対応しています。但し、このレベルの超高速通信を実現するには、そのような速度を提供できるインターネットプロバイダーに加入する必要があります。
Wi-Fiも特に最新世代のWi-Fiルーター(過去1~2年以内に製造されたもの)をご利用の場合は、高速通信が可能です。最近のルーターはWi-Fi 6/6E/7などの規格に対応しており、9.6Gbps(Wi-Fi 6/6E)から最大46Gbps(Wi-Fi 7)の速度を実現可能です。ただし、障害物やルーターからの距離などの要因に依存するため、一般的にはイーサネットよりも遅く、安定性も劣ります。
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デバイスの互換性
ほとんどの通信デバイス(スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、スマートテレビ、ストリーミングスティック、スマートスピーカーなど)は、購入後すぐにWi-Fiに繋げます。例外としては、Wi-Fiカードを搭載していないデスクトップPC、古いプリンター、有線接続の業務用機器などがありますが、日常的に使うような大半の端末はWi-Fiに対応しています。
イーサネットは物理ポートが必要なため、ハードウェアの制約を受けます。このポートは、デスクトップPC、ゲーム機、ネットワーク接続ストレージ、セットトップボックスなど据置型デバイスに搭載されています。薄型軽量ノートPC、タブレット、および全てのスマートフォンにはイーサネットポートがありませんが、USB-C/Thunderboltアダプターやドッキングステーションを使って追加が可能です。
安定性と遅延
イーサネットは電波の影響を受けないため、通信遅延が少なく安定しています。「遅延」とは、リクエスト送信から応答取得までの時間差であるときに発生しますから、時間差が短ければ短いほどデータ通信は高速化されます。イーサネットはラグや接続切断を最小限に抑えられるので、対戦ゲームやビデオ通話することが多いユーザーに最適です。
Wi-Fiは無線の電波を使いますから、近隣住民や家庭内の機器と干渉が発生し、速度低下や突発的な遅延を引き起こすことがあります。この場合、ルーターの場所を変更したりルーターの管理パネルにアクセスして周波数帯(2.4 GHz、5GHz、6 GHz)を変更することで改善できます。ただし、ルーターが最適な場所に置いてある場合でも、イーサネットほど低ping値にはならないでしょう。
セキュリティ
イーサネット接続のハッキングや通信の傍受には、ケーブル、有線ジャック、スイッチポート、またはルーターへ物理的にアクセスする手法が一般的です。家の外から簡単に傍受可能な無線電波のWi-Fiに比べ、イーサネットのハッキングははるかに困難ということになります。イーサネットもセキュリティトラブルはありはしますが、電波はケーブル内にとどまるので、攻撃対象は少なくなります。
一方で、特に公共Wi-Fiはセキュリティリスクが大きいです。ホットスポットの設定を確認したり、他に誰が接続しているかを知ることはできません。「悪魔の双子(Evil Twin)攻撃」や、同じホットスポットを利用する他のユーザーに通信をのぞき見されるなどといった危険性があります。悪質なユーザーにあなたの訪問サイトを知られたり、ハッカーがあなたを危険なサイトへ誘導して個人情報を盗む可能性もあります。
高性能なVPNを使えば、イーサネットとWi-Fi両方のプライバシーを強化できます。VPNはあなたのIPアドレスを隠蔽し通信データも暗号化しますから、他人はあなたの通信を見ることができません。なお、VPNのキルスイッチを有効にすると、予期せずVPN接続が切断された場合でも、再接続されるまで端末のネット通信自体を遮断してくれます。CyberGhost VPNは強力な暗号化技術、データ漏洩防止、キルスイッチを備えていますので、有線・無線ネットワーク両方でしっかりセキュリティ対策できます。
設定と利便性
イーサネットの初期設定には、ケーブル配線とデバイスおよびルーターの空きイーサネットポートが必要です。しかし、一度設定してしまえば、その後の手動調整や変更は不要です。一方で、Wi-Fiは設定が簡単な上に、利便性においてイーサネットよりもはるかに優れています。ほとんどのルーターにはWi-Fiネットワーク名とパスワードが設定されていて、お手持ちのWi-Fi対応端末にすぐに接続でき、自宅に限らずどこでもネット通信が可能です。
ゲームとストリーミング
オンラインゲームやクラウドゲームでは、遅延が最小限で高速なイーサネットが優位でしょう。動画視聴に関しては、どちらの接続方法でも問題はありません。Wi-Fi電波が安定していれば、4K動画も問題なく再生可能です(ただし、Wi-Fiが混雑している場合やルーターの場所が悪い場合は有線が有利)。
日常利用に最適な接続方法はどっち?
イーサネットとWi-Fiでは「どちらが良い」ということはなく、用途や利用場所によって上手く使い分けることが重要です。

イーサネットを使った方が良いときとは?
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- 対戦ゲームなどのオンラインゲーム: イーサネットは通信が安定していて低Pingなので、ラグやスパイクの発生を最小限に抑えられます。
- テレビ・コンソールでの4K/8Kストリーミング: 有線接続なので動画の画質が安定し、バッファを防ぎます。
- 大容量のダウンロード/アップロードやクラウドバックアップ: イーサネットは安定して高速なので、大容量ファイルは中断なく迅速に処理されます。
- ビデオ通話やライブストリームのホスティング: 有線接続は通信切断が少ないので、長時間のセッション中でも音声と映像がスムーズです。
- 在宅勤務: イーサネットは高速かつ信頼性が高いので、ファイル、リモートデスクトップ、共有ドライブへのアクセスもスムーズです。
Wi-Fiを使った方が良いときとは?
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- 手軽なブラウジング、SNS、ショッピング: Wi-Fiは配線の手間がなく、所構わずサクッとネット閲覧したい時などカジュアルな利用に便利です。
- ノートパソコンやスマートフォンなどの携帯端末の接続: ワイヤレス接続なので、自由に移動しながらオンライン状態を維持できます。
- スマートホームデバイス: ほとんどのスマートスピーカー、カメラ、IoT機器は無線接続向けに設計されており、イーサネットポートを備えていないもも多いです。
- ルーターから離れた場所でのストリーミング: Wi-Fiは電波の強度が十分あれば、HDや4Kストリーミングに必要な帯域幅を十分利用できます。
イーサネットとWi-Fiは併用できる?
イーサネットとWi-Fiを併用しているご家庭が多いでしょう。簡単な目安として、固定設置の機器にはイーサネットを、自宅外でも利用するデバイスにはWi-Fiを使用すると良いでしょう。デスクトップPC、ゲーム機、スマートTVは有線接続が最適で、スマートフォンやノートPCはWi-Fi接続が便利です。なお、有線・無線の両方に接続されている場合、ほとんどの機器のシステムは無線接続よりも有線接続を優先します。
イーサネットとWi-Fiの一般的な接続トラブルを解決する方法
接続トラブルはWi-Fiで発生することが多いですが、イーサネットでも速度低下や遅延が生じる場合があります。トラブルシューティングに技術的な知識は不要ですのでご安心ください。ここでは、Wi-Fiとイーサネットのパフォーマンスを改善する方法をご紹介します。
Wi-Fiの通信速度が遅い場合の対処法
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- 使っていない端末から接続を切断する:スマートフォン、タブレット、ゲーム機、スマートガジェットなど複数の端末に接続している場合、使っていない時でも帯域幅を消費します。
- ルーターを再起動する:再起動するだけで不具合が解消され接続が改善することが多いです。
- Wi-Fiチャンネルを変更する:同じチャンネルの近隣ルーターが干渉を引き起こすことがあります。混雑の少ないチャンネルに切り替えることで電波を解放できます。
- ルーターを最新の状態に保つ:ルーターのバージョンを更新すると、バグや脆弱性の修正が反映されたり、速度が向上されます。
- 電波を改善する:ルーターは壁や家電製品、電子機器から離れていて、家の中心にあたる部屋の高い位置に設置しましょう。家が広い場合や壁が厚い場合は、メッシュWi-Fiユニットを追加して電波の到達距離を伸ばすことを検討しましょう。
イーサネットの通信速度が遅い場合の対処法
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- ケーブルを確認する: 古いケーブルやケーブルに損傷がある場合、速度に影響します。Cat6またはCat6aケーブルは、長い距離でもギガビット速度(またはそれ以上)に確実に対応できます。
- 理的な接続状態を確認する: プラグが緩んでいたり有線ジャックにきちんと接続されていないと、突然速度低下が起こったり接続が途切れることがあります。
- ネットワークアダプタ設定を調整する:速度やデュプレックスモードの設定が誤っていると、パフォーマンス低下の原因になります。「オートネゴシエーション」設定にするとデバイスは最適化速度で動作します。
- 老朽化したハードウェアは交換する:古いルーターやスイッチは、ギガビット通信を許可せず、速度が100 Mbpsに制限されていることがあります。
速度を優先するならイーサネット、利便性ならWi-Fi
個人のニーズによってどちらが「ベスト」かは変わってきます。最速通信で作業が必要な場合は、有線接続(イーサネット)が最適です。最速通信を得るのに有線以上のものはありません。とはいえ、Wi-Fiはケーブルが不要で利便性においては非常に優秀です。一番良いのは、各部屋に有線LAN配線をひくことはせずに、両方を上手く併用してネットワークを高速かつ効率的に利用することです。
イーサネットとWi-Fiはどちらもインターネットを同じように利用できますが、セキュリティやプライバシー対策が必要です。CyberGhost VPNは有線・無線接続の通信データを最高水準の暗号化技術で保護し、トラッカーもブロックできます。厳格なノーログポリシーを採用していますから、ネット利用時のアクティビティはしっかり保護されます。接続中のデータ追跡・保存・共有は一切行いません。さらに45日間の返金保証が付いていますので、リスクなしで全機能を十分試せます。
よくある質問
イーサネットは物理ケーブルを介してデバイスをインターネットに接続しますので、ルーター、有線ジャック、またはルーターに接続されたネットワークスイッチに端末を接続する必要があります。イーサネットは電波干渉を受けづらく接続が安定し、速度が低下したり通信が途切れるのは最小限に抑えられます。Wi-Fiは一般的にイーサネットより低速ですが、電波を利用してデバイスにネットを接続するためケーブルが不要で、お手持ちの通信機器に一度に接続できます。
Wi-Fiよりもイーサネットの方がラグがはるかに少なく高速通信なのでゲームにおすすめです。Wi-Fiを使用せざるを得ない場合、2.4GHz帯ではなく5GHz/6GHz帯を使用するか、端末に近く高い位置にルーターを置いて、壁や金属物の遮蔽を最小限にすることで干渉を軽減できます。その他の方法として、モバイルアプリでWi-Fiスキャンしてウェブブラウザからルーターの管理画面にアクセスし、混雑の少ないWi-Fiチャンネルに切り替えることも可能です。
特に大容量ダウンロードでは、イーサネットの方が高速です。イーサネットは有線接続なので速度が安定するためです。ストリーミングに関しては、電波の強度が十分あれば有線・無線のどちらでも問題ありません。ただし、FHD(1080p)ストリーミングには5~10Mbps、4Kストリーミングには25Mbps以上の通信速度が必要です。
Wi-Fiに比べてイーサネットは遅延やPing値を抑えられますか?
はい、イーサネットの方が遅延やPing値を抑えられます。イーサネットは無線干渉の影響を受けないため、Ping値を数ミリ秒短縮できるからです。数ミリ秒というとわずかな差に聞こえるかもしれませんが、対戦ゲームやビデオ通話では明らかな違いがあります。
Wi-Fiでも有線イーサネット接続と同じくらいの安定性を確保できますか?
はい、理想的な条件(最新のルーター、ルーターから短距離、通信の障害物がない、電波干渉がない)が揃っていれば有線接続をほぼ同じくらい安定するでしょう。ただし、無線電波は本質的に変動しやすいので、通信接続を安定させたい場合は有線利用がベストです。
Wi-Fiでなくイーサネットを使うメリットは?
イーサネットはレイテンシーが低いのでゲームやビデオ通話に最適です。また、有線なので通信が安定していますから、ダウンロードやアップロードがスムーズで、近隣や家庭内機器の無線電波による干渉の心配もありません。セキュリティ面では、有線接続は電波で情報を送信しないため、家の外から誰かにネットワークに接続されるということは考えにくいです。一般的に、イーサネット通信を傍受するには、ケーブル、有線ジャック、スイッチ、またはLAN上で通信機器を侵害し物理的にアクセスする必要があります。
Wi-Fiではなくイーサネットを使うデメリットは?
Wi-Fiに比べてイーサネットを利用する最大のデメリットは、ケーブル接続が必要なことです。通信機器が使える場所が制限されてしまいますし、家中にケーブルを配線するとなると煩雑になりがちです。また、スマートフォンやタブレットなど多くのモバイル端末にはそもそもイーサネットポートが搭載されていないため、Wi-Fi接続が必須となります。
イーサネットよりWi-Fiの方が便利なのはどんな時?
スマホ利用、移動時でのネット利用や外出先でリモート作業する際には、Wi-Fiの方が便利でしょう。また、賃貸住宅、共有スペース、または家が複雑な間取りでケーブルを敷設できない場合もWi-Fiが重宝します。
イーサネットとWi-Fiは併用できますか?
はい。ほとんどの通信端末で併用利用が可能です。ただし、端末は一度に1つの方法でしかネット接続できず、Wi-Fiよりイーサネット接続が常時優先されます。ですので、Wi-Fiを使用したい場合はケーブルを抜きましょう。イーサネット接続を優先したい場合はケーブルを差し込んだままにしておけば常時有効になります。
端末の接続方法をWi-Fiからイーサネットに切り替えるには?
Wi-Fiからイーサネットに切り替えるには、イーサネットケーブルをデバイスに接続して有線ジャックまたはルーターに接続します。これで端末の接続方法は自動的に有線接続に切り替わります。イーサネットがきちんと反映されているか不安な場合は、デバイスのネットワーク設定からWi-Fiをオフにすれば確実です。
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